名古屋の閑静な住宅街に、突如走った衝撃のニュース。
「まさか、あの人が……」
「おとなしくて、優しいお母さんだったのに」
1999年、主婦・高羽奈美子さん(当時32)が殺害された事件。
26年という長い時を経て逮捕されたのは、被害者の夫の高校時代の同級生──
安福久美子容疑者(69)だった。
近所の人が語る印象は「穏やか」「物静か」「家庭的」。
誰もが“普通の主婦”だと思っていた女性の中に、一体何が潜んでいたのか。
彼女の“家族の素顔”を辿ると、静かな暮らしの奥から、切なくも不気味な輪郭が浮かび上がってくる。
「結婚して頑張ってるよ」──同級生が語る“平凡な主婦”の姿
高校時代、安福容疑者はソフトテニス部に所属し、
真面目で控えめな性格として知られていた。
部活仲間であり、被害者の夫・高羽悟さんも当時の同級生。
卒業後、久しぶりに顔を合わせた同窓会の席で、
彼女は穏やかな笑顔でこう語ったという。
「結婚して頑張ってるよ」
その言葉は、どこにでもある幸せな日常の一コマのように聞こえた。
まさか、その数年後に“人生が暗転する事件”に関わるとは、誰が想像できただろうか。
結婚相手はどんな人? “穏やかな夫婦”のはずが…
近隣住民の証言によれば、安福容疑者はかつて“夫と息子たち”と一緒に暮らしていたという。
夫は同年代とみられ、静かな人柄だったそうだ。
ふたりは一見、ごく普通の落ち着いた夫婦だった。
ただ、その生活には次第に“距離”が生まれていったようだ。
「ご主人の姿を見たことがない」
「いつも一人で出かけていた」
そう語る住民も多い。
夫婦の間に何か変化があったのか、あるいは別居や離婚という形を取っていたのか──
そこは、いまだ謎に包まれたままだ。
表向きは“平穏”を保ちながら、
その内側で何かが静かに崩れていったのかもしれない。
子どもは何人? 「息子らと暮らしていた」という声
「安福さんの子どもと、うちの子が同級生だったの」
そう話すのは、同じ町内に住む60代の女性だ。
この証言から、安福容疑者には少なくとも一人──
おそらくは“複数の息子”がいたとみられる。
“息子ら”という表現が使われていることからも、
家族構成は「夫+妻+息子たち」という、ごく一般的な家庭像が浮かび上がる。
息子たちはすでに成人している可能性が高く、
事件が再び注目を集める中、
“母の逮捕”という現実にどんな思いを抱いているのか――想像するだけでも胸が痛む。
息子ってどんな存在だった? “優しいお母さん”と呼ばれた日々
「優しいお母さん」「明るく挨拶してくれた人」
そんな声が、近隣のあちこちから聞こえてくる。
息子たちの学校行事で見かけた彼女は、いつも控えめに微笑んでいた。
派手さはなく、けれどどこか温かい――
まさに、“普通の母親”そのものだった。
だからこそ、今回の逮捕は信じがたい。
彼女を知る人たちは一様に首を振り、「何かの間違いでは」と語る。
息子たちにとっても、母は“平凡な日常の象徴”だったはず。
そんな母が、突然“殺人事件の容疑者”として報じられる。
その衝撃は、想像を絶する。
静まり返った家──孤独の10年が語るもの
今の自宅に引っ越してきたのは、およそ10年前。
その頃から、彼女の暮らしは一変した。
「姿を見かけなくなった」
「外に出るのは自転車で買い物するときくらい」
そんな声が増えた。
いつの間にか、家族の気配も薄れていった。
かつては笑顔と子どもの声があった家が、
いまは静寂に包まれ、灯だけがぽつりとともる。
その静けさは、平穏の証なのか、
それとも、孤独のサインだったのか。
“優しい母”が“容疑者”に変わるまで
26年間、被害者の夫・高羽悟さんは諦めなかった。
血痕の残る現場を自費で保存し、真犯人を追い続けた。
そしてついに、逮捕の報せ。
だが、その名を聞いた瞬間、悟さんは言葉を失った。
――高校時代の同級生。
「おとなしくて真面目な人だった」
「まさか、彼女が……」
信頼と友情の記憶が、崩れ落ちていく瞬間だった。
普通の人生の中に潜む“見えない闇”
安福久美子容疑者の人生は、
外から見れば“平凡な家庭の物語”そのものだった。
結婚し、子どもを育て、地域と穏やかに関わる。
誰もが「幸せそう」と思っていた。
しかし、その裏で積み重なっていたのは、
孤独、距離、そして長年の沈黙だったのかもしれない。
26年の時を経て明るみに出た“もうひとつの顔”。
優しかった母親が、どうしてその道を選んでしまったのか。
「普通の人」が、どこで“普通ではなくなる”のか。
その問いに、明確な答えはない。
けれど、この事件は、
“平凡の中にも闇が潜む”という現実を、私たちに突きつけている。









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